今年の4月生のワークショップの発表会が終わり今期のワークショップが終了しました。
今回は最後に発表会ということで、後半は作品に取り組んでいきました。
今回もいろいろなゲームやワークに挑戦していき、たくさんの発見がありました。
その中でも、最後の評議のシーンはみなさんにとっても新しい挑戦だったと思います。
最初は台本通り進めていきました。
でも台本通りだとなんか物足りない、消化不良・・・といった感じで
最後をどういう風に終わらせるか考えていました。
そこで最後の評議のシーンを最初から即興でやっていただくことにしました。
「カチカチ山」の主人公のうさぎが実刑か執行猶予か。
本人としてそれぞれ思うところを話し合ってもらいます。
台本上の役ではない、
自分の本心を語る
ということで本当の議論になっていきます。
・被告ウサギ役のUちゃんは役の上では自分の弁護をして語っていますが(当たり前ですが)
実は本人は
「ウサギの心には裏がある」
とウサギの心の闇の部分を見ていました。
・最初はウサギのおばあさんに同情していて、執行猶予ではないかと言っていたMさんは
他の方から「おばあさんはタヌキを狸汁にしようと縛っていて殺そうとしていたんだ」
という話を聞き驚いてショックを受けていました。
話していると、今の社会情勢、法の問題、つい先ほど話題になった死刑についての考えなど
とても深い話になっていきます。
そして物語に出てくる役の一人一人の気持ちに寄り添います。
・おじいさんは実はこうだったのでは。
・おじいさんとウサギの関係、気持ちの交流。
・タヌキの生い立ち。
そばで聞いていたUちゃんのママは
「まるで大学の法学部のゼミみたい」
とおしゃっていました。
本当に、一人一人の意見、心の揺れ、葛藤がそのままこの議論の中にあって
「これってこのままお芝居にするとおもしろい」
というものになっていました。
最後はこの事件と判決が世の中に公表されて、
社会的にどういう影響をあたえるのか
というところまで話が及び、
それを熱く語ったKさんの情熱にみんなが打たれた形になって
満場一致の結論にいたりました。
さてここからです。
この芝居よりもおもしろい事実の議論をどう舞台にのせていくか。
まずは、事実の議論をストーリーにしてセリフ化します。
それをもう一度やっていただくのですが・・・
あれあれ、ちょっとみんな「セリフ」を読んでいるよ。
自分のしゃべった言葉を「セリフ」にしたのに、
「セリフ」という文字にしただけで、自分の言葉じゃなくなっている。
エネルギーもまったく違ってきている。
説得力がないので、説得されない。
つまり力強い結論が出てこないのです。
本当によくわかります。
自分の言葉はいかに力をもっているか。
セリフの言葉。
それがいったん自分の言葉であっても「セリフ」という文字に置き換えられただけでエネルギーダウンしてしまう。
逆にいうと、「セリフ」をいかに「自分の言葉」として発せられるか。
「本当」とうのは、感じたことしか表せない。
「感じる」ということがどんなに大切かということを私自身学ばせてもらいました。
芸術は「本物」「偽物」かそれしかない。
若いころ学んだ師のことばです。
私も日々学びです。
このとてつもない「ものを創り上げる」表現の世界。
答えは
あるようでないのか。
ないようであるのか。
そこに挑んでくださるみなさん。
どうぞ、今のまま明るさを失わずに楽しみましょう。
ご一緒出来てうれしい。
次回のワークショップは9~1月。
「朗読公演のためのワークショップ」が始まります。
詳細は近日アップします。
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